書籍レビュー:『電磁気学ノート』監修:末松安晴

★★★☆☆

電磁気を一度学んだことがある人の復習用としてはよくできたテキストです。電気、磁気に限らず、ベクトル解析や電磁波、電気回路までカバーする範囲は広いです。図も豊富です。が、よくまとまっているものの説明が超少ないので、初めて学ぶ人には全くお勧めできません。未習の電磁波の部分はまったく意味が分かりませんでした。章末問題は豊富ですが、解答しかついていません。残念。


書籍レビュー:『(講談社)日本の歴史01 縄文の生活史』著:岡村道雄

★★★★☆

日本史の知識がなさすぎるのと、高校教科書の「~があった。~が起きた。」という記述にうんざりしてきたので、詳しい通史本がほしくなって読みました。全26巻なので最後まで読めるかどうかわかりません。

縄文時代は約15,000年前~3000年前に区分され、氷河期が終わり海の幸山の幸が豊富に獲れるようになり、定住生活が可能になった時代です。

日本は関東ローム層に代表されるように酸性土壌なので、ほとんどの有機質が年月を経ると分解されてしまいます。当時の生活を想像するために得られる手掛かりは遺跡と貝塚くらいしかありません。本書では遺跡からどのようにして縄文人の生活を読み解くのか、その方法が具体的に描かれています。

著者が創作した物語がちりばめられているのが印象的です。発掘結果を踏まえた創作なので『祭殿の入り口には、重さ460グラム、直径5センチもあるヒスイの大珠を首から下げ…』など堅い記述が目立ち読みやすいとは言えませんが、想像力を掻き立てる本書のアクセントとしてうまく機能しています。「石器ってどうやって使うの?」という疑問には『使い込んで小さくなったナイフ形石器が、ついに4つに折れてしまった。もう捨てるしかない。…男は持ってきた不定形の石の剥片を2,3個使ってネズミを素早く解体すると…』といった具体的な記述が答えてくれました。

縄文時代より前の旧石器時代については、旧石器捏造事件にページが割かれていました。著者は「なぜ見抜けなかったのか。。」と悔恨と反省を述べています。

生徒さんに歴史を教えることがあったら、こういう本をネタにして面白い話がしたいです。まだまだ知識が足りません。