書籍レビュー:『入門線形代数(放送大学テキスト)』著:隈部正博

★★★★☆

放送大学で使われているテキストです。放送大学はよい教授陣が揃っているので、テキストは概してよくまとまっています。

著者の隈部先生の授業で以前に数学基礎論をとったこともあったので、信頼してこのテキストで勉強しました。初学者にも読みやすく具体例を頻繁に交えながら書かれており、かつ一般性を失わないように行列をn次に拡張した場合の証明もなされており、幅広い読者が読むことのできるテキストです。大学時代は機械的に行っていただけの行・列基本変形の意味、階数・次元や線形独立・従属、線形写像のあたりの説明は分かりやすく、授業で大いに役立てることができました。

しかし先生の体力が途中でなくなったのか、終盤3章の固有値、基底変換、対角化については全然ページが割かれておらず、そこだけが残念です。他の本で補う必要がありそうです。


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