耐えられる

ぼくはストレス耐性が高い。よっぽどのことがないと、心身症は出ない。

多摩ニュータウンで暮らしていた時、ある日の夕方に家族全員分の布団を敷きながら、激しい腹痛に襲われたことがある。

引越と食費のせいで慢性的に金がないのでぼく自身に医療費をかけたくなかった。ぼくは腹痛をやり過ごすことにした。いつもと何も変わらない表情で布団を引き、会話の受け答えもいつも通り行った。10分後に腹痛は去っていった。誰もぼくが腹痛だったことを知らない。今考えると、連日の満員電車通勤のストレスだったと思う。

これぐらい耐えられると思った。

食費が月25万円になっても、借金が130万円になっても、体重が40kgになっても、月8万5千円で暮らせと言われても、これぐらい耐えられると思った。

なんだって大したことがないと考えていた。

ストレス耐性が高いというのは、問題が起きている部分をなかったかのように扱うこと、つまり自らの問題から目をそらし考えることをやめることと等しく、搾取者を更にエスカレートさせるだけである。


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