CDレビュー: Sarah Vaughan – Crazy And Mixed Up (1983)

★★★★☆

ジャズの100枚。シリーズ24枚目です。邦題は『枯葉』。

くんせいジャズ

サラ・ヴォーン(1924-1990)はアメリカ出身のジャズヴォーカリストです。煙焼けしたハスキーボイスが特徴ですが予想通りヘビースモーカーで、死因は肺がんでした。

33分ちょいと短いアルバムですがいい曲揃いです。彼女の声によるところが大きいですね。2曲目That’s Allは彼女の可愛い一面が見られる名曲。3曲目Autumn Leavesはシャバダバしか言ってませんが滑らかに歌もドラムもピアノも流れていきます。ラストYou Are Too Beautifulも燻製しきった低音が出まくっててよいです。こんなに焼かなくても、、なんか切ないです。

 

1曲紹介するとしたらこれですね。邦題タイトル曲Autumn Leavesです。

www.youtube.com

ボンボルッボルッボルッダッパッパ

 


CDレビュー: Oliver Messiaen Complete Edition – Catalogue d’oiseaux, Livre 4, 5 (CD6)

★★★★☆

 

メシアン「鳥のカタログ」2枚目です。4,5集は次の鳥たちが登場します。

  • 第4巻

第7番 ヨーロッパヨシキリ

Acrocephalus scirpaceus Vlaskop cropped.jpg

ヨーロッパヨシキリ – Wikipedia

一夫一妻を取る珍しい鳥です。曲は28分26秒という超大作で、途中にはガラガラドーンとこれ絶対鳥の鳴き声じゃねぇって音も現れます。もしかすると環境音が混じってるのかもしれません。メシアンの鳥観察日記を8mmフィルムで撮ったらこんな音になる、っつーことです。鳴き声は比較的かわいい系ですね。単音の鳴き声は分かるとして、時々コードっぽいベース音が入れるなんてどういう感性をしていたら作れるんでしょうねぇこの曲。

  • 第5巻

第8番 ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ – Wikipedia

日本名「姫告天子」、見た目と違って厨二臭のする名前です。ヒバリ科スズメ属ということで鳴き声はほぼスズメと同じです。スズメと思ってこの曲を聴いてみると面白いかも。私が住んでいる付近の川でよくスズメが大群で木に群がって鳴きまくっていることがあるんですが確かにこんな感じです。曲は5分と短め、やはり謎の低音部分などがあります。これは歩いている音なのか?

 

第9番 ヨーロッパウグイス

37-090505-cettis-warbler-at-Kalloni-east-river.jpg

Bouscarle de Cetti — Wikipédia

名前の通り残念ながら日本にはいない鳥です。鳴き声も日本のものとはずいぶん異なりチィーチィーと鳴くらしく、曲も全然ホケキョじゃないです。もっと甲高くて耳につく感じです。CD収録曲中一番気合の入っている曲でしょっちゅうピアニストが息吸ってる声が拾われてます。スズメくらいの大きさの鳥なのにパワフルですね。

 

別の人の演奏ですがヨーロッパウグイスです

www.youtube.com

 

 

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Great Pianist of the 20th Century Vol.10 – Jorge Bolet I (CD2)

★★★★☆

2枚目はライブ版ともあってレパートリーがぐっちゃぐちゃです。美しきドナウの流れにはじまりタンホイザーやらクマンバチやら愛の喜びやら小曲の集合です。

聞くたびに毎回思いますが熊蜂の飛行をピアノに編曲したラフマニノフとこれを弾こうとするピアニストはキチガイだと思います。

www.youtube.com

ラストに入ってます。7:00から。

 

あとはタンホイザーがいいですね。リスト編曲だけあって超ド派手です。前のCDに引き続きややべたっとしてますがリスト派手パワーのおかげで過度の甘みが酸味料ですっきりするかの如く聴きやすくなっています。

www.youtube.com

 途中までですけど、youtube上なら続きも聴けます。

 

Tracklist:

Johann Strauss/Adolf Schulz-Evler

2-01     Arabesques On “An Der Schönen, Blauen Donau”     11:25

 

Richard Wagner/Franz Liszt

2-02     “Tannhäuser” Overture     16:39

 

Moritz Moszkowski

2-03     La Jongleuse (From Etudes, Op. 52)     1:55

 

Anton Rubinstein

2-04     Etude In C, Op. 23 No. 2 “Staccato”     4:53

 

Nicolai Rimsky-Korsakov/Rachmaninoff

2-05     The Flight Of The Bumble Bee     1:07

 

Fritz Kreisler/Rachmaninoff

2-06     Liebesleid     4:47
2-07     Liebesfreud     5:35

 

Felix Mendelssohn Bartholdy/Rachmainoff

2-08     Scherzo (From “A Midsummer Night’s Dream”)     4:40

 

Johann Sebastian Bach/Rachmaninoff

2-09     Prelude (From Violin Partita No. 3)     3:35

 

Modest Moussorgsky/Rachmaninoff

2-10     Hopak     1:43

 

Sergei Rachmaninoff

2-11     Polka De V.R.     4:13

 

Peter Iryich Tchaikovsky/Rachmaninoff

2-12     Lullaby, Op. 16 No. 1     4:10

 

George Bizet/Rachmaninoff

2-13     Menuet (From “L’Arlésienne”, Op. 23     2:45

 

Gaetano Donizetti/Franz Liszt

2-14     Réminiscences De “Lucia De Lammermoor”     6:20

編曲ラフマニノフばっかだった

 


書籍レビュー: 『ふたりのロッテ』 著:エーリッヒ・ケストナー

(•ө•)

 

題名だけ知っていたので興味で読みました。

ケストナーの語り口調には癖がありそれが独自性といい味を出しています。高橋健二さんの訳もじょうず。

離婚話ですので子供に読ませるのは不適当ではないかとの声もあったそうですがケストナーは次のようなたとえ話を出して、子どもこそ読むべきであると読者を説得しています。ここが面白かった。

「シャーリー・テンプルは7つは8つの子どもの時、もう世界中に名だかい映画スターでした。映画は彼女のおかげで数百万ドルも、もうけました。ところが、シャーリーがおかあさんといっしょにシャーリー・テンプル映画を見に、映画館に入ろうとすると、入れてくれませんでした。まだ年がたりないというのです。それは禁止されていたのです。シャーリーは映画をとることだけはさしつかえなかったのです。それは許されていました。それには充分の年だったのです。」

タイトルと表紙からは女の子の友情ものなのかなぁと想像していましたがまさかこんな内容の話だとは全く想像してませんでした。優れた物語です。20年くらい前に読んでればよかった。ですが個人的な理由でこの本を読むタイミングは不適切でした。さらに20年くらいしたらまた読もうと思います。

自分には児童文学が必要と思っていましたがしばらくの間読むのをやめます。

 


CDレビュー: Great Pianist of the 20th Century Vol.10 – Jorge Bolet I (CD1)

★★★★☆

Great Pianistsシリーズの10組目のセット1枚目です。

ホルヘ・ボレット(1914-1990)はキューバ出身のピアニストです。フレディマーキュリーに似てますね。

このセットは1974年のカーネギーホールでのライブ録音で、彼の出世作だそうです。

1枚目はバッハのシャコンヌ(ブゾーニがアレンジした奴)、ショパンの前奏曲集、ヨハン=シュトラウスのワルツが2曲です。シャコンヌはややべったりした印象を受けました。納豆バッハ。

前奏曲集もべっとりしてますがこれは陰鬱なショパンの曲調とマッチしていい効果を生んでいます。ピアニストによって向き不向きがはっきり出る曲なんですね。この人見た目はマッチョですが前奏曲のラストなど心の奥まで粘着してきそうなDV的怖さがあります。

 

前奏曲の最後の方

www.youtube.com

 

Tracklist:

Johann Sebastian Bach/Feruuccio Busoni

1-01     Chaconne In D (From Violin Partita No. 2)     15:04
    Préludes, Op. 28

Frederic Chopin
1-02     No. 1 In C     0:35
1-03     No. 2 In A Minor     2:08
1-04     No. 3 In G     0:52
1-05     No. 4 In E Minor     2:04
1-06     No. 5 In D     0:33
1-07     No. 6 In B Minor     2:01
1-08     No. 7 In A     0:50
1-09     No. 8 In F Sharp Minor     1:48
1-10     No. 9 In E     1:34
1-11     No. 10 In C Sharp Minor     0:30
1-12     No. 11 In B     0:41
1-13     No. 12 In G Sharp Minor     1:08
1-14     No. 13 In F Sharp     3:45
1-15     No. 14 In E Flat Minor     0:27
1-16     No. 15 In C Sharp     6:30
1-17     No. 16 In B Flat Minor     1:05
1-18     No. 17 In A Flat     3:50
1-19     No. 18 In F Minor     0:49
1-20     No. 19 In E Flat     1:15
1-21     No. 20 In C Minor     1:45
1-22     No. 21 In B Flat     2:05
1-23     No. 22 In G Minor     0:45
1-24     No. 23 In F     0:53
1-25     No. 24 In D Minor     2:43

Johann Straus/Carl Tausig
    From “Nouvelles Soirées De Vienne”
1-26     Man Lebt Nur Einmal, Op. 167     7:30
1-27     Nachtfalter, Op. 157

 

 


書籍レビュー: 60Pに濃い内容『科学発見シリーズ』 著: アイザック・アシモフ

★★★★★

 

SFの巨匠アイザック・アシモフ(1920-1992)による、こども向けの科学読み物です。1冊あたり60Pほどしかありませんが内容は濃く、これを読めるのは中学生以上程度でしょう。大人でも十分楽しめる内容です。

 

原著はここにあります。how we find out…? というシリーズです。日本語訳は20冊ですが原著では32冊もあるようです。

私は8冊目まで読みましたが、理由があってここで読むのを打ち切りました。おすすめは電気と細菌です。

 

ここのところ時間が無く、しばらくの間雑なレビューになりそうです。

 


書籍レビュー: 次回を待て『ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)』 著: 塩野七生

★★★★☆

 

おそらく本シリーズの一番気合が入っていると思われる話題、ユリウス・カエサルについてです。文庫版では本書含めて6冊がカエサルについての記述に充てられています。本書ではカエサル誕生~39歳までの軌跡を辿ります。紀元前100~61年の間の出来事です。

かぶってる

実は半分くらいの内容が前巻とかぶります。カエサルはスッラやポンペイウスの時代にも生きていたからです。通して読む人間にとってはやや不満ですが、逆に、カエサルの部分だけ単独で読みたい人にとっては嬉しい構成方法ですね。8~13巻だけ読むという読み方もあり、でしょう。

カエサル編1巻目にあたる本書ではカエサルは目立ちません。やや遅咲きの政治家として、37歳でようやく宗教職の最上位である最高神祇官に当選したにすぎませんでした。おそらく文化庁長官くらいの意味合いで、最高権力者には程遠い位置です。

カエサルの人柄

本書ではカエサルのキャリアよりは彼のパーソナルな部分に焦点が当てられています。彼を読み解くキーワードは、借金、女の2点です。

カエサルは湯水のように借金しました。借金したお金は投資のためではなく、公共インフラの構築や剣闘会の開催など、民衆への大盤振る舞いにあてられました。このためスキャンダルとなることはなく、また金ヅルである最大債権者のクラッススは、カエサルに貸した金が大きすぎるためカエサルが「大きすぎてつぶせない」存在となり、彼が有利になるように取り計らうしかできなかったと言われています。

もう一つの金の使い方が女へのプレゼントでした。パトロンであるクラッススの妻テウトリア、最高権力者である執政官ポンペイウスのムチア、そしてカエサルが殺されることとなるブルータスのセルヴィーリアなど錚々たるメンバーがみなカエサルの愛人だったと言います。しかも誰にも隠さず、公然と愛人宣言をしていたそうです。

筆者によれば女が傷つくのは自分のことを無視した場合だけ、だそうです。カエサルは全ての愛人について関係を断つことをしませんでした。前述のセルヴィーリアなど、ブルータスがカエサルに剣を向けた後でさえカエサルは彼女のことを心配し国有地を安く払い下げてやるなどの配慮を忘れなかったそうです。また、豪邸2件が建つほどの真珠を贈るなど熱烈なプレゼント攻勢をカエサルはいつも忘れませんでした。これと「公然」の効果によって彼のことを悪く思う女性はひとりもいなかったそうです。筆者お墨付きとはいえ参考になるんでしょうかねこれ。

カティリーナ弾劾

後半に出てくるカティリーナという人の謀反を弾劾した前63年の「カティリーナ弾劾」裁判でのキケロ―の演説はヨーロッパ中の高校生が訳させられる文章だそうです。日本だと何にあたるんでしょうね。いずれ読んでみます。ラテン語を勉強するなら必須なのでしょう。

Catiline Orations – Wikipedia, the free encyclopedia

カエサルがここで弾劾への反対演説をしたことが、ローマにとって重要な意味を持つそうですがこの巻ではその真意にはかする程度で踏み込まれていません。次回を待て、ということでしょう。

7巻までと同様、事前知識なしでも引き込まれ一気に読めてしまう内容ですが、やはり前回までと重複している内容が多く単独で読むには物足りない巻でした。中と下まで一気に読んだ方がよさそうです。

 


CDレビュー: Ametsub – The Nothings of The North (2009)

★★★★★

 

和製ひとりテクノユニットAmetsubの2ndアルバムです。このアルバムを聴くのは久しぶりで2度目なのです。やっぱり良いですね。

前作と大きく変わったのは、メロディーラインと和音の方向性が鮮明になったことです。サンプリングのぶっ飛び具合はより洗練されていますが、名状しがたい寂寥感を生む和音とメロディーの力が非常に強くなっています。

1曲目Solitude。「北」を打ち出しているだけあってのっけから過冷却冷え冷えです。8分で延々刻まれる虫が歩き回ってるような音が可愛悲しい。

www.youtube.com

 

 

3曲目Repeatedly。ただ繰り返してるだけではなくもう寂しくてしょうがないです。中盤に繰り返しの中から現れる渦のような3連符でノックアウトされてしまいました。そのあたりから曲調が変わり16分地獄となります。

www.youtube.com

初めて見ましたが目と心によくないビデオクリップですね

 

9曲目Faint Dazzlingsはラストのブリザードで死ね

www.youtube.com

 

 

 

電子音楽の他のCDレビューはこちらです。


書籍レビュー: だまされないために『情報操作のトリック その歴史と方法』 著:川上和久

★★★★☆

 

川上和久(1957-)さんは社会心理学者。現在、明治学院大学の教授(出版当時は准教授)だそうです。

序盤で著者の定義する情報操作とは次のようなことです。

「情報操作とは、情報の送り手の側から見れば、個人、もしくは集合的な主体が、何らかの意図を持って、直接、もしくはメディアを介して、対象に対して、意図した方向への態度・行動の変化を促すべく構成されたコミュニケーション行動とその結果の総体である。また、情報の受け手の側から見れば、意図的・非意図的によらず、受け手の態度・行動に影響を及ぼすコミュニケーション行動。およびその結果の総体である」

これはめちゃんこ広い定義ですね。例えば最近流行の恋愛工学なんかまさに個人が個人を意図した方向に導く情報操作の典型ですね。本書はここで定義した通りかなり広い範囲について情報操作を網羅しようとする本です。そのため内容的にはどうしても薄くなってしまいます。終盤の広告についてはこっちの本を読んだほうがマシです。

 

細かなトピックでいくつか感銘を受けたものを紹介します。

人々が自発的に情報を歪めるシステムを作るのが望ましい

国家がある目的を効率的に遂行しようと思ったら、強権を振るうよりも自発的に目的を実行してもらった方がコストがかかりません。そのために必要なのは教育です。一党独裁政治政権では教育の場を家庭から学校に移すと効率が良いそうです。ナチはヒトラーユーゲントのメンバーが行進するときに家族の方を向くことを禁じましたし、中国の幼稚園には次のような歌を歌わせました。

「私の家は幼稚園、先生はお母さん。何でも教えてくれる先生についてお勉強できるのは何て楽しいことでしょう。ほかにはなんにもほしくない」

そういえば反戦小説には必ず「学校では天皇を敬うよう言われたのに親は天皇なんかくそくらえだという。非国民だ、親が恥ずかしい」という子供が出てきます。これも同じパターンですね。本書は記述が少なくメカニズムはかかれていませんが、おそらく、学校で過ごす時間の方が家庭で過ごす時間よりも長い上に、画一的に教育できますし人数の力で同調圧力が働くため効率的ということなのでしょう。

やはり大衆=アホ

ヒトラーが自ら語った情報操作の原則です。

「自由な選択を認めるよりも、対立的考えを一切許さない教旨によるほうが、国民はより強い安心感を抱くことができるであろう」

「大衆に語るべき思想を少数にとどめて、それをうまずたゆまずくり返すことが必要である。大衆は、何百ぺんと繰り返さないと、もっとも簡単な思想でも覚えこまないものである。」

「かくてスローガンは、種々のかたちで示されるべきであるが、しかし結論としては必ず一定の不変な公式に要約して示されなければならない」

小泉が人気のあったわけがよく分かりますね。ワンフレーズポリティクスはいつの時代でも強いです。これに対抗するためには、世界は複雑であること、思想は矛盾対立するものであること、繰り返すことは強力だが危険であることを常に頭の片隅に入れておかねばなりません。

7つの原則

7つの習慣っぽいですがこれはアメリカの宣伝分析研究所の作成した政治原則です。権力が行うとよい原則を調べると次のようになりました。

  1. 攻撃対象の人物・組織・制度などに、憎悪や恐怖の感情に訴えるレッテルを貼る「ネーム・コーリング」
  2. 権力の利益や目的の正当化のための、「華麗なことばによる普遍化」
  3. 権威や威光により、権力の目的や方法を正当化する「転換」
  4. 尊敬・権威を与えられている人物を用いた「証言利用」
  5. 大衆と同じ立場にあることを示して安心や共感を引き出す「平凡化」
  6. 都合のよいことがらを強調し、不都合なことがらを矮小化したり隠したりする「いかさま」
  7. 皆がやったり信じていることを強調し、大衆の同調性向に訴える「バンドワゴン」

 どれも身に覚えがあります。ニュースや他人の言説にこのような傾向があったら警戒しましょう。

 

選挙の争点は取り上げた時点で勝ち

1989年参院選の自民党の歴史的惨敗は消費税・リクルート疑惑・農政問題という材料が社会党の躍進に繋がりました。逆に、1990年の総選挙では消費税を脇に置いたため自民党が逆転して安定多数となりました。

ここからわかることは、「政党にとって有利・不利な点が争点になった時点で選挙が終わっている」ということです。したがって各党は、自らに有利な点を争点とし、不利な点をできるだけ争点からそらします。すべての政治団体について「本当にその争点は重要なのか」ということを常に考えないとだまされます。例えば今(2015年現在)なら、最も取り上げるべき争点は賃金の下方硬直による激しい格差社会と、人口減や地方崩壊につながっている高齢化だと思われます。これ以外の争点を過剰に持ち上げる党や団体のことは疑います。

ヤラセ以前に内容がどうかしてる

本書が出版された1994年はテレビのヤラセが問題になっていたそうですが、ヤラセが行われていた番組名が「激写!中学生女番長!!セックスリンチ全告白」や「追跡!OL・女子大生の性24時」であるということにがっくりしました。今でも、Yahooニュースの芸能欄すなわちトップニュースはそんなんばっかですので今も昔もみんな暇だなあと思いました。

 

操作されるということは、操作する人間にバカと思われていることに他なりません。くやしい。絶対に操作されないぞ!

 


フィスコレポートを読む 3457ハウスドゥ

 

先週分とまとめて目ぼしい銘柄は1企業しかありませんでした。

3457 ハウスドゥ(変わり種不動産銘柄)

ハウスドゥ!グループ HOUSE DO

不動産仲介業者ですが、賃貸ではなく売買の仲介を専門とします。古田敦也氏の宣伝が効いてフランチャイズチェーンの数はうなぎ上り、セグメント利益率57.3%、連結決算の利益の半分を稼ぐドル箱事業になりました。ハウスドゥがノウハウやブランド力を提供、フランチャイジーが加盟金や月会費などを払う仕組みです。業務支援ソフトや研修、共通サービスまで提供してくれ至れり尽くせりですね。月会費は高いでしょうけど。。

資料によると新規加入費450万円、月額費用30万円です。しかし不動産はコンビニや塾と違って単価が高いですから、月に1000万円の物件が1軒売れるだけで元が取れてしまうそうですよ。持ち家志向が極端に強い日本人には最適のビジネスかもしれませんね!私は一生買いませんけど!

もう一つの主力の不動産売買事業はふつうの事業、建売と中古住宅の売買です。同社は中古住宅の買い取りを強化しており、人口減に伴う中古住宅の供給増に備えているようです。消費税増税時は、一時的な落ち込みが予想されます。

またハウス・リースバックという変わった事業も伸びています。これは、ハウスドゥが家を買い取り、売主は賃貸料を払ってしばらくの間売却した物件に住むというものです。売主は金が入った上でしばらくの間住み続けることができ、ハウスドゥは賃貸収入というストックを確保し将来的に優良な中古物件が手に入ります。ハウスドゥはリース期間が終了したらその家を売却するので、物件の目利きの力が試されます。

中期計画を見るとやはりフランチャイズとリースバックを成長産業に位置付けています。消費増税で売上は減るかもしれませんが、この2つは安定した収益をもたらすでしょう。不動産銘柄でも異色な存在と言えます。

株価は高いのか安いのかよくわかりません。PERは14倍。

f:id:happyholiday:20151101152105p:plain