CDレビュー: Metallica – …And Justice For All (1988)

★★★★☆

メタリカ4枚目です。

メタルとしての構成力は4作中最もよい

本作はほとんどの曲が6分を超えており9分超えも2曲と大作揃いで、かといって単調ではなく展開が上手で飽きさせません。特に表題曲…And Justice For All は見事です。幹線道路のような太い芯を通しながらも次々と曲調を変化させ気が付くと9分46秒経っています。言うなれば環八ロックですね。

8曲目To Live To Dieも純インストの長編曲ですがこれも構成がよくできていて、やはり多摩ニュータウン通りのような巨大な背骨の先頭や最後にトンネルを付けたり車窓からマンションだらけの無機質な街を映してみたりする曲です。イメージが道路ばっかりですね。それも夜に限ります。自然破壊を伴っているところが特徴です。

本作は2, 3枚目で見られた若干軟派気味な曲はほとんど存在せず、4曲目Oneの前半だけにしか見られません。といってもこの曲、後半は6連符連発の超硬派に変わります。じゃあ全編硬派ですね。いわば超合金Zメタルです。メタルだけに言葉が重なってしまいました。

爆音のミキシングが仇に

本作で誰もが印象的に感じるのは変わったミキシングでしょう。ベースが聞こえません。そのことを批判する人は少なからずAmazonのレビューにもいらっしゃいます。私はベースについては気になりませんでした。これはこれでアリだと思います。ただし、ドラムを思いっきり強調していますがこれは失敗です!ドラムがヘタクソなのがこの上なく強調されてしまい、そればかり気になって数多くの曲が台無しになっています。特にバスドラムがひどく、…And Justice For All は見事と書きましたが実はバスドラが高速で入るたびにグチャっとなり、演奏へののめりこみ度が一歩引いてしまいます。よく出来た曲なのに本当に残念です!

 

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