Beethoven, Friedrich Gulda(pf): Piano Sonata No. 30-32(CD12)


★★★★★∩(・ω・∩) (∩・ω・)∩
名曲しかない。。
まず切ない切ないメロディーで始まる30番。第1楽章、中盤からは曲調が変わり実質の2楽章目、いつものベートーヴェン節が大炸裂し、チャーラチャンチャンとダサさも完備。第2楽章は長大で10分超、しかも曲調がコロコロ変わる。しっとりとした前半から打って変わって後半は押し寄せる渓流奔流、まるで木曽川。7分半くらいでまた変わり、対位法堅苦しいゾーン+ダサゾーンを抜けて長大階段へ、、美しい。
31番は第1楽章がフラペチーノ、いやキャラメルマキアートか?というくらい甘い。後味を残したまま、またまた超ダサの第2楽章スケルツォ。マイムマイムみたい。繰り返しと謎のメロディー、激しいのかそうでないのか掴みきれない変わった曲。第3楽章は暗い歌風味のメロディーからフーガで盛り上がった後また歌、そして感動のラストへ。ラストがオケもびっくりの壮大さ。
32番は前評判通り、最高傑作といっていいと思う。第1楽章は原点回帰かと思うような激しい曲、俺たちのベートーヴェン的ダサメロ、無限回廊、激情、爆音、強烈テクニック、いままでのベートーヴェンの総結集といった曲になっている。そしてベートーヴェンが新世界の神となった第2楽章、なんとこの曲には、中盤にスウィングが登場する!!この曲ができたのは1821年なので、文字通り100年早い!しかも天にも昇るような完璧な曲で!信じられない。ウソだろって思った。マジであんたすげぇよ。スウィング地帯を抜けた後は、高音とトリルを主体とした気持ちの高揚をずーっと保つかのような流れが続いて、11分過ぎにトリルが途切れ、着地する。この着地した、と思われる感覚が、並じゃない。ラストの静寂にも驚く。この曲は、他のピアノソナタのどの曲とも違う。でも、ベートーヴェンの曲とすぐに分かる。
wikipediaを見たら参考文献に「『ジャズの起源はベートーベンにある』(田幸正邦 / 東京図書出版会 / ISBN-10: 4434020315 / ISBN-13: 978-4434020315 2002年)」って出てるし!!
グルダさんもずるいです。初期中期は、わざとなのか、爆音演奏を量産していたというのに、後期になったらタッチに憂いをもたせるのだもの。引き込まれるに決まっている。ピアノソナタを全部聞いてみて、ベストはこの、最後の1枚。時点で最後から2番目。とにかく後期の演奏が素晴らしい。前半はやや誇張しすぎなのではないかというくらい、派手でダイナミクスつけすぎだったけど、特に最後の3枚の演奏は意図的なのかバランスが取れておりしっくりくるし感動する演奏だった。
残りはピアノコンチェルト3枚。しかしこの演奏と量で3000円台ってのは出血大プライスだな。


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