The Rough Guide to Cajun & Zydeco (1998)

★★★☆☆

ケイジャン、ザディコとはルイジアナ発祥のフランス語を話すクレオール系黒人達が演奏するフォーク音楽。アメリカと言うより中世フランスを想起させるような曲が多い。アコーディオンが特徴で、初期ロックンロールと融合したような曲もいくつか収録されている。マザー2に出てきそうだ。

残念ながらオリジナル性が私にはあまり感じられず、いまいちな印象だけが残った。楽しそうではあるんだけれどね。


The Rough Guide to Australian Aboriginal Music (1999)


★★★★★
ほとんどがディジュリドゥを使った曲で、モダンな物からトラディショナルなものまで揃う1枚。ディジュリドゥは昔この曲で知った。現代の曲を聴くとじーさんも英語しゃべってるし、ホント英国に侵略されちゃったんだなぁということを悲哀をもって感じられるアルバムだった。1曲目Saltwaterのようにローカルな曲は燃えるが、2曲目Kurongk Boy, Kurongk Girl、3曲目Native Bornのように完全に英語化されてしまった世代の曲を聴くとすごく切なくなる。地元の文化を守るために外から来た言語・外から来た音楽様式を使って発信しなくてはいけないなんてなぁ。他には6曲目Bullimaは現代テクノの要素が入っているがよい。9,12,15の完全ローカル曲も素晴らしい。アボリジニーには太鼓系の打楽器が無いようだ。パーカッションは木を叩いてカンカンやる程度にとどまる。オーストラリアは暑くないからそこまで高揚する必要が無いのか?もしくは太鼓用の動物の皮が取れなかったのかな。
なお同名の2008年版のアルバムの方が評判がいい。1999年版も個人的には満足だ。


The Rough Guide to The Music of Portugal (1998)


★★★★★
ポルトガルはスペインと同様にイスラム化された歴史があるにもかかわらず、スペインほどイスラム的な要素は少ない。ギターを中心としたファドという民謡が多い。明るく大きく歌い上げる、しかし哀愁を帯びた歌。イタリアと雰囲気が似ている。2曲目DULCE PONTES – FADO DA SINA が聞かせてくれる。10曲目LENDAS & MITOS – BARQUINHA DO MARはまさかのロックだが、なかなかアツい仕上がりとなっていてグッド。11曲目ANABELA – AVENIDASは随分と現代風だがこれもよい。地中海的ダラり曲だ。新旧ハズレの曲が少なく同シリーズの中でも上位の作品。


Unwired: Acoustic Music From Around the World(1999)


★★★★★ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧
アコースティックな曲だけ集めた特別版。アメリカ、アフリカ、アジア、ヨーロッパからオールスターで集められているせいか、このシリーズの中でダントツで出来が良い。ほぼはずれの曲はないが、特に14曲目Red Ribbonは熱い!暑すぎ!パーカッションは日本のお祭りみたい、、と思ったらアーティストは日本人+中国人だった!どおりで。他にも1,3,5,8曲目が燃え燃えでよいです。気持ちいい!


The Rough Guide to the Music of South Africa (1998)


★★★★☆
南アフリカ共和国だけで1枚のアルバムを占める特集。さすが旧植民地か。全体的には熱帯系ダルダル音楽を中途半端に西洋化した、比較的がっかりな曲が多い。
Bheki Mseleku – Celebration – YouTube
しかしこの1曲だけが際立っている。純ジャズをワールドミュージックのシリーズ物で聞くことになるとは思わなかった。アフリカ系特有の繰り返しとパーカッションをうまいことジャズに取り入れていて、後半はアイエーーイエエエエーーみたいな叫びも交じってくる秀逸ジャズだった。
もうちょっと民族系を押し出した曲に頑張ってほしかった。


The Rough Guide To African Blues (1998)


★★★★★
このCDで、私は未知の言語萌えであることが分かった。全く解読できない言語の歌を聞くと、とてもいい気持ちになる。おまけにアフリカ系の言語ってみんな可愛い響きがする。これがアフリカ系特有のループ構造や、カリンバというこれまた萌え萌えな楽器に載せて歌われるとググッとお腹に来る。4曲目Mansa – Super Rail Band や5曲目Paulette – Balla Et Ses Balladins、ラストSaa Magni – Oumou Sangare がおすすめ。


The Rough Guide to Reggae (1997)


★★★★☆
レゲエはジャマイカ発祥のポピュラー音楽。ロックの影響をかなり受けているように感じました。暑くて気怠い感じを混ぜて、なんとなくこなれてない英語をラップのように混ぜる。このアルバムには洋楽的なポピュラー寄りの曲から、スカっぽい古臭い曲、ヒップホップに非常に近いCockney Translation(これが一番好きです)のような曲まで非常に幅広く収録されています。初代beatmaniaで最も簡単な曲だったのがJam Jam Reggaeというレゲエだったので、やや感慨深いですが、あのような陽気な曲は数曲しかありませんでした。フラメンコのときと同じで、先入観を持って聞くといい意味で裏切られます。


The Rough Guide to Flamenco (1997)


★★★★☆
フラメンコといっても、カスタネット鳴らしてオーレ!って叫んでるだけではない。スペインは昔ウマイヤ朝が存在していたこともあり、ヨーロッパでも異色のイスラム色が非常に強い音楽が特徴だ。っていうかここはどこの中東だ!?って曲ばっかりだった。手を叩いてリズムを取る曲はベドウィンの音楽と同じだし、男のアアーーーアーアーーーアーーーって叫びはまんまコーランだ。しかしヨーロッパのスパイスも効いており、ギターはカッコ良い。こんな曲ばっかり流れてれば情熱的になるよラテン系。おすすめはテンポも展開も気持ちよすぎる2曲目Mi tiempo、観客と歌い手の熱気だけがすべての4曲目Buleria de la mocita、とてつもない歌い手の声の伸びが聴ける8曲目Y yo que culpa tengo。後半ちょっとだれてくるので星は-1とした。


The Rough Guide to the Music of North Africa(1997)


★★★★★
北アフリカ音楽は熱い!収録されている曲の発祥国は主にアルジェリア、エジプト、スーダン、モロッコ。これらの国は歴史的にイスラム教で、かつ、地中海に面しているためヨーロッパ、特にフランス・スペインとの結びつきが強い。びっくりすることに、曲にこれらの特性がそのまんま反映されていた。つまり、中途半端に近代化された、ゆるいイスラム音楽だった。略して近代ゆるスラ。いきなり1曲目M'Hainek Ya Galbiから、90年代のCDなのに80年代の香りがする古い音にコーラン風味のヴォーカル、時々おかしいコード。このパチモンっぽさが、とてもよい。2曲目Douni El Bladiもイスラムお得意のコーラン風ヴォーカル+繰り返し満載なのになぜかバックトラックが近代風ギター+ドラムマシン。インド音楽をも思わせるユルさだ。コーランって毎日放送で流れるから親しみも沸いてみんなこんなヴォーカルになっちゃうんだろうな。他にも面白い曲はいっぱいあるけれど、とりあえずここまで。とにかく無駄に近代化したイスラム風の曲が聴きたければ、このアルバムがベスト!