CDレビュー: King Crimson – Larks’ Tongues in Aspic


★★★★★
5thアルバム。
まず1曲目から衝撃の表題曲Larks’ Tongues in Aspic, Pt. 1。冒頭に流れてる爪で金属の板をはじく楽器、良く行く雑貨屋で流れてて好きなんだけれど名前は何て言うんだっけ?(追記:カリンバです)

と考えてたらギターが流れてきて、あとは即興の嵐。アルバム全体に流れている民族楽器とロックが程よく調和している。3曲目Exilesがまたツボにハマる構成で泣ける。和音や弦も素晴らしいが何よりドラムが泣かせる。スネアロールだけで泣けてくる。何なんだこの人。

5曲目The Talking Drumもドラムが主役。6曲目Larks’ Tongues in Aspic, Pt. 2も後半部のドラムが神がかっていて戦慄した。このアルバムの邦題は「太陽と戦慄」って言うらしいけどなんか間違ってないか?最初から最後までドラムばかり聞いてしまうアルバムだった。

調べてみるとこのアルバムで打楽器担当のジェイミー・ミューアさんは、収録後アルバム発表前に仏教修行のため脱退してしまったらしい。惜しまれる。

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CDレビュー: beatmania IIDX 20 tricoro ORIGINAL SOUNDTRACK vol.1

(ちょっと恥ずかしい)
★★★☆☆
昔ハマっていたゲームの第20弾サントラ。自分はまともにプレイしたのが13くらい、17以降は触ってもいないので、とうとう20も出たか、と思うと感慨深い。
回を追うごとにターゲット層が低年齢化していって、硬派な曲がどんどん少なくなっていって気持ちも離れて行ってしまった。前回Lincleのサントラが非常にイマイチだったこともあり、このサントラには期待していなかったが、どうしても気になるので効いてみた。いつも通りボーカル曲はほぼすべて量産型女性ボーカルなので飛ばしてしまったが、それ以外の曲のクオリティは高い。ほとんど、常連の作曲者ものだけれど。。

・気になった曲Top5

1.DJ MURASAME – 仮想空間の旅人たち
一番ツボに入ったのはこの曲。非常に不思議な音の使い方をする。ダサい一歩手前のガケを行ったり来たりする。メロディーも全然予測できない動きをする。古臭いような定番のようなでも一風変わっているアルペジオ。それらが全体的に組み合わさって曖昧で宙ぶらりんな浮遊感を形成している。4分もあるのでおかしいなと思ったら、なんとSPとDPで1曲を構成しているのだとか。プレイ末期はDPerになっていた自分としては嬉しい仕掛けだ。

2.yu_tokiwa.djw – rumrum triprets
好きだった曲 murmur twins + Linus のリアレンジバージョン。やっぱりいい曲でした。

3.Eagle – S!ck
流行りのダブステップを一応取り入れてみたものの、それの向こう側に駆け抜けてしまっている姿勢が素晴らしい。展開が慌ただしくごちゃ混ぜなのも非常に良いです。

4.ユニバーサル度胸兄弟 – Thor’s Hammer
ジャニーズ的存在のイケメンであると同時に天才ピアニストとして有名なリスト様が作曲した超絶技巧の代表曲ラ・カンパネラをIIDXで叩かせようとする意欲作。最初から最後まで爆音のクライマックスのまま進んで終わるので始め聞いたときは笑ってしまいました。

5.猫叉Master+ – portal
氏の曲は独特の哀愁コードを必ず使用していてそれはとても良いのだけれどワンパターンになりがちであまり得意ではありませんでしたが、この曲では独自性を保ちつつ6/8+4拍子混在など斬新なリズムパターン、今までにないメロディーなど新たな境地を見た気がします。

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CDレビュー: Charles Koechlin – Quintettes

★★★★★

[Youtube]同CDの後半、Quintette pour piano et cordes, Op.80

20世紀前半、フランスの作曲家ケクランの室内楽。弦楽4本+ピアノのクインテット。
以前NHKで「クインテット」という番組をやっていた。宮川彬良さんと人形4体がコントや歌、そして本格的な演奏会をする素敵な番組だった。彬良さんのアレンジが優れていることもあって、とにかく演奏がすごい。ピアノと弦が4本あれば、オーケストラに負けない音楽的宇宙が表現できることに毎度感動しながら見ていた。そして、このCDでクインテットの持つ力を再認識した。

音楽史に疎いことを断ってから書くと、20世紀前半に作られた曲は、新しい表現を探すために調性をぶっ壊している過渡期であるためか、崩壊と調和の狭間をさまよっている曲が多いように感じる。調性から外れると秩序から外れるので不安になる。この時代より下ると外れっぱなしで不安なまま終わって意味不明、心にもなかなか訴えかけないのだが、このあたりの時代の作曲者(特にフランス系の人たち)は最後に必ず調和をもたらしてくれるので、自分はそのギャップのせいか、いたく感動する。

後半のOp.80は、1-3曲目ははっきり言ってわけわかめだ。しかし最後の4曲目が素晴らしい。タイトルの”La Joie”という言葉通り、演奏を聴いている間も聞き終わった後も、体の中が喜びで満たされることこの上ない。

別アーティストによるOp.80の演奏。

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CDレビュー: King Crimson – Earthbound


★★★★☆
音質が悪いことで有名なライブアルバム。確かに悪い、悪すぎる。しかし1曲目21st Century Schizoid Manは長大な爆音即興パートが挿入され聞くものをミスター味っ子で旨い料理が出たときくらいぶっ飛ばす勢いがある。これが1stアルバムにスタジオレコーディング版で入っていたら相当印象が変わっていただろうに。。とにかく音が悪いのが惜しまれる。5曲目Groonもわざと歪ませまくった意欲作だが、やはり1曲目が良い。

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CDレビュー: King Crimson – Islands


★★★★★+
4thアルバム。アルバムとしての完成度は最強レベルだ。洗練され過ぎている。1曲目Formentera Ladyの気だるさと不思議な空間に圧倒されると、2曲目Sailor’s Taleの超即興爆裂金管&ギターでまた圧倒され、そのままちょっと擦れてる3,4曲目を通過したら、あとはただ美しさでまた圧倒される5,6曲目。看板曲Islandsはメロディーが素晴らしい。自分は下降するメロディーに弱いらしい。to↑my↓is↓land…と下がる所がたまらない。この曲だけ全然ロックじゃないけど良い。

東京で挫折して打ちひしがれていた時の一番の清涼剤になった。現時点ではこのアルバムが一番いい。絶望していた時は何故かずっと2ndアルバムのIn the wake of Poseidonが流れていたけれど、同じアーティストに救われた。

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