CDレビュー: The Bill Evans Trio – Moon Beams (1962)

★★★★☆

 

ジャズの100枚シリーズの22枚目、3回目?の登場となるピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバムです。偶然にもドラムを叩いてるのがいま他のボックスセットを聴いてるポール・モチアンでした。

超瞑想エヴァンスZ

ほぼ全曲がしっとり静かな曲で構成されています。1曲目Re: Person I Knewや2曲目Polka Dots And Moonbeamsなんか超がつくくらいの瞑想ミュージックです。こういう曲を聴くとなぜか新宿ブックファーストが思い出されます。店の中はごく静かなのに本から漂う熱気を感じ手に取って人知れず興奮してしまうあの感じです。いや最近大型書店って会社に行った帰りにカンタンに寄れるブックファーストにしか行ってないからなんですが。東京に住んでたらまた別の印象を感じるのでしょう。静かな中に大きな力を感じることができます。モチアンのドラムは静かなくせに粒がしっかりしていて好きです。

全曲がこの調子で進むので精神が未熟な私にとってはどうしても物足りない印象になってしまいますが、精神を研ぎ澄ましたいときはこのアルバムをヘビーローテーションでまわしながら作業するととても良いんじゃないでしょうか。

ちなみに私の最近のヘビロテはVingt Regards sur l’Enfant-Jesusです。

 

いっきょくめ。ぬめぬめして死ぬ

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ジャズの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Oliver Messiaen Complete Edition – Vingt Regards sur l’Enfant-Jesus (CD3, 4)

★★★★★=͟͟͞͞(✹)`Д´)

 

3,4枚目は「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」という邦題です。メシアンは作曲家であるとともに神学者ですので、超敬虔なキリスト教徒でキリストが主題の曲も沢山作曲しています。なにしろ彼への眼差しを想像するだけで2時間に及ぶ大曲を作ってしまうほどなのですからその信仰の深さたるやどれほどのものでしょう。

20曲の邦題は次の通りです。

1. 父の眼差し
2. 星の眼差し
3. 交換
4. 聖母の眼差し
5. 子を見つめる子の眼差し
6. それに全ては成されたり
7. 十字架の眼差し
8. 高き御空の眼差し
9. 時の眼差し
10. 喜びの聖霊の眼差し
11. 聖母の初聖体
12. 全能の言葉
13. 降誕祭
14. 天使たちの眼差し
15. 幼子イエスの接吻
16. 予言者たち、羊飼いたちと博士たちの眼差し
17. 沈黙の眼差し
18. 恐るべき感動の眼差し
19. 我は眠っているが、私の魂はめざめている
20. 愛の教会の眼差し

イエスの誕生日と言われているクリスマスに何となくノリでクリスマスソングをかけたり、「聖夜」のイメージだけでイチャイチャしたりそれに嫉妬したりするライトユーザー日本人から見るとドン引き間違いなしのタイトルが勢ぞろいです。

しかし欧米人の多くの人にとっては神が存在するかどうかは死活問題ですから、これくらい真面目に考える方が健全なのです。イエスのことを思って思って苦しみぬき絞り出した慈愛に満ちた曲がこれらと考えました。言い換えるとイエス好き好き大好き俺どうにかなっちゃうぜという曲です。

理解不能な生の迫力

内容は、、意味が分からないがすごい!!音楽理論はまったく理解できませんがそれだけ全体に漂う愛と死と迫力だけが生々しく伝わってきます。むしろ耳に馴染みのある音がほとんど排除されてますので、それらから生じる経験的な観念がノイズとなって邪魔をせず、彼の伝えたいこと(具体的には「イエス愛してる!イエス偉大!イエス見守ってるよ!」)がダイレクトに耳に入ってくるのかもしれません。音楽だけに言葉で伝えるのがあほくさい。単に前衛的なだけだったら以前に聴いたドナウエッシンゲン音楽祭のボックスセット(一番下のリンクから飛べます)のように乱雑過ぎて感想も抱けないようなめちゃめちゃな曲ばっかになりますが、それらとはまた質が大きく異なる曲集でした。

10分程度の長めの曲がどれもこれも優れています。6,10,14,15,19,20曲目あたりです。特に最終曲「愛の教会の眼差し」は久しぶりに音楽を聴いていて涙が出ました。クラシック部門だと最も感動した曲にランクインです。なぜって言われると理由は答えられませんわかりません。演奏者の気迫によるところも大きいように思います。

 

最終曲。ボックス収録と同じピアニストだけど録音は違うっぽい

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ピアニストはイエス好き好き人間なんでしょうか。

 

イエスの曲のはずなのにところどころ鳥の鳴き声を入れるメシアンさんパネーっす。っていうか、ここまでの鳥へのこだわりようは異常です。たぶん少し自閉症入ってると思います。だから余計自分にマッチしたのかもしれません。なお13曲目の原題は「Noel」ですからこれはクリスマスそのまんま、なんとクリスマスソングでした!!まじか

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Great Pianists of the 20th Century Vol.9 – Daniel Barenboim (CD2)

★★★★★

 

2枚目はピアノソロがリストで4曲、これはオマケ扱いでメインはブラームスのピアノ協奏曲1番です。

堅焼きせんべい

先頭3曲はリスト「巡礼の年 第2年:イタリア」から4~6曲目のペトラルカシリーズの抜粋です。リストにしては珍しく静かめ(5曲目の中盤除く)で、彼の甘ったるいロマンチックな曲調を堪能することができます。

次はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から「イゾルデの愛の死」をリストがピアノアレンジしたものです。何つー大げさなタイトル、と思いますがタイトルに違わぬ美しさでメロディーラインは完璧。いや憎いっすね。リストがアレンジしただけあってクライマックスは低音バリバリの超ド派手編曲です。おすすめ。

ここまでは実はオマケで、CDの2/3を占めるのがブラームスのピアノ協奏曲1番でした。ブラームスの曲はいくつか聞いてますがこの曲も他と同じくクソ真面目でお前は忠君な武士かっつーの、ってくらい堅い。でも超かっちょいいです。第1楽章の2/3くらい進んだところで現れるオケ3連符連発ゾーンなんか十字軍の大量の槍に突き殺されそうなイメージがします死ぬ。この前後でピアノがトリルに入り損ねてぶっ飛んじゃってますがこれはこれで熱が入り過ぎている感じが出ていてよいです。

第3楽章も堅すぎて死ぬ。ベートーヴェンとはまた違った方向のダサカッコよさです。美しいんですがどことなく角が出て筋張っている。これは何だろう?堅揚げポテト?堅焼きせんべい?ブラームスは「武骨萌え」という新たなジャンルを私にもたらしました。やっぱり武士とか中世の騎士とかのイメージですね。例えるなら王宮戦士ライアンです。ドラクエ4です。すばらしい

 

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動画あがってました。千手観音突きな三連符ゾーンはyoutubeに飛ぶと見られる続きの2本目の動画の6分ちょいくらいのところです。

 

 

 

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CDレビュー: Great Pianists of the 20th Century Vol.9 – Daniel Barenboim (CD1)

★★★★☆

 

ダニエル・バレンボイム(1942-)はアルゼンチン出身のユダヤ人ピアニストです。またユダヤ人!金持ちと音楽家はみんなユダヤ人ですね。

20世紀代表のピアニストですが70歳を超えた今でも新譜が出続けています。

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ドゥダメル(グスターヴォ)バレンボイム(ダニエル),ブラームス,ドゥダメル(グスターヴォ),バレンボイム(ダニエル),ベルリン(シュターツカペレ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2015/08/19
  • メディア: CD
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2014年録音。72歳で長丁場のブラームスのピアノ協奏曲を弾いてる。。体力あり過ぎ

 

彼は指揮者としても有名で大量のCDを出しています。またイスラエルに国籍を移し在住していますが、ガザに侵攻しまくる政府には批判的な立場を取る知識人でもあります。そういえば以前朝日新聞にイスラエルを批判するインタビューが出てました。

上手だが無難な印象

本CDは1967年の録音ですので25歳のときの演奏ですね。1枚目はモーツァルトのピアノ協奏曲25番とベートーヴェンのピアノ協奏曲1番です。

モーツァルトの方は非常に軽快にキラキラキラリンコと弾いていて華麗なのですが華麗で終わってしまうような感じで、儚いですが胸には迫りませんでした。もちろん大半は曲調のせいです。それにしても25曲目って作り過ぎですよね。協奏曲なんて1曲作曲したら精根尽き果てそうなもんですが。全部で27曲もあるそうですよ。

ベートーヴェンの1番は1794年作、ピアノソナタ1番と同じ時期くらいで交響曲1番よりも先に作られているだけあって、まだ彼の革新性がそれほど出ておらずモーツァルトの曲に似ています。といっても第3楽章のテーマは後のダサカッコ路線の萌芽が見られ、ラストはやりすぎなくらいの盛り上げで度肝を抜かれます。2枚目にも期待します。

 

youtubeに同じ録音がありました。ベートーヴェンのピアノ協奏曲1番第3楽章です。

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Tracklist:

Wolfgang Amadeus Mozart
1. Piano Concerto No. 25 In C, KV 503: 1. Allegro maestoso
2. Piano Concerto No. 25 In C, KV 503: 2. Andante
3. Piano Concerto No. 25 In C, KV 503: 3. Allegretto

Ludwig van Beethoven
4. Piano Concerto No. 1 In C, Op. 15: 1. Allegro cno brio
5. Piano Concerto No. 1 In C, Op. 15: 2. Largo
6. Piano Concerto No. 1 In C, Op. 15: 3. Rondo. Allegro scherzando

 


CDレビュー: Ametsub – Linear Cryptics (2006)

★★★★★

 

久しぶりにエレクトロニカを聞きました。Ametsub(あめつぶ?本名不明)は日本人アーティストです。

神経症が転じてα波を出す?

エレクトロニカは電子音を多用するその構造上、没交渉で神経症的で耳障りになりやすい音楽です。Aメロ、サビなどに分かれているわけでもなく、歌詞も全くありませんし、メロディーすらないことが多いです。私はエレクトロニカは好きです。大きな感動を覚えることは少ないのですが、その捻くれた音楽性に肩入れしているのかもしれません。

彼?の作品は一度通して聴いたことがありました。音の作り方、積み重ね方が自分の固有振動数か何かと合うのか、とても気に入ったことだけ覚えていました。あれから数年経っているので、どれだけ印象が変わったか興味があり再度ファーストアルバムを聞いてみたら、やっぱり優れた作品でした。印象は以前よりもよくなりました。

特徴は、強烈なコラージュと執拗な繰り返し、あちこちに散らばった孤独な電子音の集合体です。なのになぜか気持ちが落ち着きます。一体どのような作用によるのか未だによくわかりません。

 

前回一番衝撃を受けた3曲目です。繰り返してるだけなんですが。

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以前あまり気にならなかった曲10曲目Green Oeuvreが一番腹にこたえました。表面上目立つ鍵盤楽器の空間的広がりも特徴的ですが、右と左と時々中央でブチブチブツブツヘロヘロ言わせてる電子音にとんでもない寂寥感を抱くのです。

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このほかサインカーブの切なさが炸裂する7曲目2 Catsや、3曲目とセットになっている16分ぶつ切り回転寿司な2曲目Lurid Sky And Tama Streamもおすすめです。

 

 

 

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CDレビュー: Metallica – St. Anger(2003)

★★★★★

 

メタリカ8枚目のオリジナルアルバムです。デビュー20周年。

中年の危機に拳を上げよ

サウンド変えすぎ!!!!

前作までの穏健路線はどこへやら、ギターもドラムも錆び付いた体にステロイド剤を大量投与するかのようにエフェクター全開、ドラムなんか掃除用のバケツをスティックで叩いているような訳の分からん音になっています。

まず頭2曲。1曲目Franticのめちゃめちゃなアウトロで度肝を抜きつつ2曲目St.Angerは耳に毒なくらいドラム叩きすぎ。前2枚は本作の溜めパンチのための布石だったのかと思えるほどです。

全体として、前作前々作で培ったキャッチ―なメロディーラインが洗練され、嫌みのない形で昇華されて上手いこと組み込まれています。メジャーな曲は嫌いですがこのアルバムの歌い方だと気にならない不思議。前作前々作はほとんど受け付けなかったのに、、

安定して中ヒットを飛ばしつつ本アルバムのキモ9曲目The Unnamed Feeling。この曲は今までの集大成じゃないでしょうか。ハードさも近年組み込まれたバラード的ギターもとてもいい形で融合していると思いました。

Get the fuck out of here
I just wanna get the fuck away from me
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I hate it all, why? Why? Why me?

I cannot sleep with a head like this
I wanna cry, I wanna scream
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I wanna hate it all away

彼らはFワードを滅多に使いません(今まではSo What?の1曲だけ)が、本曲で敢えて混ぜてきました。相当強調したかったのだと思います。歌声にメタリカ史上初めて鬼気迫るものを感じました。苦手なはずの裏声があるというのに。「名付けられない感覚」という歌詞の内容的からして、たぶん、自分たちの感じている実存的な危機がそのまんま込められていると思います。私も40代になったらそう感じるのかな。

今適当に検索したら「アルコールの離脱症状に陥った時の名付けようのない感覚(不安) についての曲。」って出てきましたがまじか。

 

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うわ―いいオッサン達になってる。。指摘の箇所は4分ちょうど以降です。

続く10曲目Purify、11曲目All Within My Handsも魂削って歌っている様子が伝わってきていいですよ。歌声ならこのアルバムが最高峰でしょう。スレイヤーと同様、方向性はどうあれ彼らが進化していく様子を辿っていくのはとても興味深いものです。

 

ちょっと評価低すぎじゃない?私は一番好きな5枚目Metallicaと並ぶくらいの評価です。

 

 

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CDレビュー: Yes – Ladder (1999)

★★★★★

 

イエス17枚目のオリジナルアルバムです。デビュー30年を突破しています。ヴォーカルのジョン・アンダーソンはこのときもう55歳ですね。まだ声の透明さが失われていない、、すごい

キャリア集大成

1曲目Homeworldからいきなり素晴らしいですね。イエス序盤の特徴であった明るいプログレの大復活です。オルガンもシンセの使い方も時代に全然迎合していません。あーこういう尖ったサウンドをこのバンドに期待してたんだな。1999年と言えば日本では宇多田のAutomaticとかモー娘のLOVEマシーンとかがヒットしていた頃です。洋楽だとブリトニースピアーズとかリッキーマーティンとか。もうデジタルなクラブサウンドバキバキのころですね。

2曲目It’ll Be A Good Dayも単純ながら泣けてくるサビです。1-2曲目は何故か琴とか日本の楽器が使われてます(シンセだろうけど)。他にも4曲目Can I?のように遊びの入った曲もいいですね。

5-9曲目はここ最近の方向性であるポップサウンドですので、個人的には若干減点です。10曲目New Languageは本当に今までの集大成で、オルガンありテンポ変化あり超大曲でアドリブあり、しかもポップ要素も取り入れているという全要素を完璧に融合した総まとめ曲です。

まだまだいけますね。聞き続けてきてよかったと思えるバンドでした。

 

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昔ながらのポリゴン数のすっげぇ少ないビデオクリップ。FF7(1997年)ってこんな感じでしたよね。

 

 

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CDレビュー: The Rough Guide to Merengue & Bachata(2001)

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★★★☆☆

メレンゲって何?

メレンゲは中米のドミニカ共和国発祥のダンス曲です。成立は18世紀ごろと古く、2ビート+頭に付点4分音符を付けるのが特徴です。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e1/Merengue_dance_pattern.png/250px-Merengue_dance_pattern.png

Merengue music – Wikipedia, the free encyclopedia

ギロとマラカス。コンガが入る曲が多く、曲調は古臭くて音もチープなものが多いです。はじめはアフリカ系の曲かと思っていましたが、スペイン語なのでアフリカではないですね。スペイン圏の曲の例に漏れずこの音楽たちもみな暑苦しく直情的です。

ドミニカ共和国は中米で最も早くヨーロッパ勢が進出した土地で、長い間スペインの植民地でした。ドミニカ共和国が属するイスパニョーラ島は西半分近くが元フランス領のハイチです。分割統治されていたんですね。香川と徳島がスペインのもの、愛媛と高知がフランスのものだった、というようなものです。

 

メレンゲ

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メレンゲと言えば

Meringues 9027.jpg

Meringue – Wikipedia, the free encyclopedia

まずこれが思い浮かびます。しかしこの音楽は菓子のメレンゲとも関係あるそうです。

In an origin’s version, the dance originated from the enslaved laborers working in sugar beet fields.

Merengue (dance) – Wikipedia, the free encyclopedia

ドミニカ共和国の砂糖ダイコン(ビート)のプランテーション農場で働いていた黒人奴隷たちの踊りから始まった音楽だそうです。つい今月読んだ本とかぶっていてビックリ。

 

もう一つのバチャータはずいぶんと歴史が新しく、20世紀にできたものです。メレンゲとは違いエスニック的な要素が抜けており、スローテンポのムード歌謡的な感じですね。

 

バチャータ

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どちらも随分と扇情的な踊り。黒人文化と白人文化の融合体ともいえる歴史を感じさせる本アルバムは、残念なことに似たような曲が多く長時間聞くのはやや苦痛です。動画はとてもいい感じなので最近の曲をきいたほうがよさそうです。ダンス曲は聞くだけではなく踊ってこそ本領を発揮しますね。

 

 

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CDレビュー: Paul Bley with Paul Motian – Notes (1987)

★★★★☆

ジャズドラマーPaul Motianのボックスセット、Complete Remastered Recordings シリーズの4枚目です。

 

こんな風に年を取りたい

まずジャケットがいいですよね。これ書いた人絵のセンスあるなぁ。すてきすぎる。

コンビを組んでいるPaul Bleyはジャズピアニスト。穏やかにキラキラした演奏を聞かせてくれます。1曲目タイトルチューンNotesは控えめでかつ豪華という味のある演奏を堪能できます。この2人、他にもコンビでいくつかアルバムを出してるみたい。

一番好きなのは6曲目のNo.3です。2人ともいろんな楽器を使って遊びまくりながらこれまたおどけた音を出し続けるのです。タンバリンや鈴、音の高いベル?のようなものなで。10年ぶりに再会した年配の友人同士が語り合ったり、一緒にバーで飲んだり、街で遊んでみたり、ちょっとしたケンカもしてみたり、、派手で目立つ曲は一つもありませんが、こんな風に年を取れたらいいな、と思わせるアルバムでした。1987年の時点ではブレイが55歳、モチアンが46歳ですね。あと15年くらいしたら、こんな風になれるのかなぁ。

3曲目Piano Solo No.1ではブレイのピアノソロ、4曲目West 107th Streetでモチアンのドラムソロを聞くことができます。

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ドラムソロ大好きです

 

 

 

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CDレビュー: John Coltrane – Soultrane (1956)

★★★★☆

ジャズの100枚シリーズ21枚目。テナーサックス奏者ジョン・コルトレーン(1926-1967)の作品です。

 

まったりのようでいて激しかった

1曲目Good Baitは非常にゆったりとした曲調ですが中盤にわけわかめのアドリブを混ぜてきて油断がなりません。音は今まで聴いた中ではキャノンボール・アダレイに次ぐぶっとさ。直感的に思いつくイメージは、ワカメです。サザエさんではなく植物の方です。

2曲目以降はレッド・ガーランドさんのピアノが冴えます。ただ肝心のサックスが達人というよりちょっと下品に聞こえてしまって、むむむと思いました。

5曲目Russian Lullabyは燃えますね。この手の曲が好きな私はまだまだミーハーなのかもしれません。コルトレーンは「20世紀のジャズ最大の巨人」と呼ばれているらしいですが現時点では特別気に入る音を出してくれません。初期の作品ということもあるのでしょうけれど。ピアノのガーランドさんは素晴らしいです。

 

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