書籍レビュー: 経済学を壮大に総まとめ 『経済学大図鑑』 著:ナイアル・キシテイニー 訳:小須田 健

★★★★☆

経済学の主要なトピックを簡潔に網羅した良書

本書は経済学の主要な論点を時系列順に並べ、おおむね2~4ページで簡潔に紹介するスタイルを取ります。ただし、主要な論点だけで100を超えます。それほど経済学は奥が深いということです。

まずこの本の装丁!否が応でも目を引きます。手に取るにはやや憚られる大きなサイズですが、中身をぱらっと開くと「これは読んでおかないといけない!」という気にさせられる本です。「大図鑑」というタイトルはやや扇情的ですが、原題は「The Economics Book」ですので「経済の本」じゃー地味ですから仕方ないですね。

私はトレンドを過ぎましたがピケティさんの「21世紀の資本論」を読んでみたいと思い、しかし経済学について全然知らないから読んでも無駄になりそうだな、と考え、まず入門的と思われる本書を手に取りました。

移ろいゆく経済学

この本では経済学のあけぼのを紀元前4世紀、財産の国家による所有を唱えるプラトンと私有財産を擁護するアリストテレスをめぐる議論から出発させ、原著出版時に最も話題であった2008年のグローバル金融崩壊に至るまでの経済学の歴史が記述されています。一つ一つのトピックに割く文量は少ないものの、すべてを繋げると膨大な量になります。

個々の論点については私はほとんど知識がなかったので得るものが大きかったのですが、最も驚いたことは、経済学は他の学問と同じく、普遍的な理論が一つも存在しないということです。すべての理論は当時の経済状況をいわば「蓋然的に」説明するにすぎず、後世に批判され換骨奪胎し次々と新しい理論が生まれていくのを本書の中で何度も目のあたりにしました。

例えば中学校でも習う(?)アダム・スミスが提示した市場は放っておいても「見えざる手」によって均衡に至るものだ、という理論を打ち立てます。しかし20世紀前半の大恐慌を目のあたりにしたジョン・メイナード・ケインズが、失業は市場の力ではどうにもできない、政府は市場を放っておかずに介入するべきだ、と理論を丸ごとひっくり返します。こうして我々が大学でマクロ経済学を学ぶと必ず目にするISLMモデルが出来上がりました。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/6/6b/IS-LM%E5%88%86%E6%9E%90.png

ところがケインズの失業の取り扱いを不満として、新古典派と呼ばれる理論が発展します。ケインズは

「需要が少なければ賃金が下がる。労働者はみんな賃金を下げたくないものだ。賃金には下方硬直性(下がりにくいこと)がある。だから需要を上げなければいけない」

と主張しますが、新古典派は

「いやそんなことないよ。時間がたてば安い賃金に労働者は渋々従うよ。だから政府がわざわざ出費することないよ」

と言います。更にこれをよりラディカルにした

「福祉や年金も必要ない。すべてを市場に任せ規制緩和しまくってジャンジャン金を回そうぜ!」

という新自由主義が発生し、いま世界を席巻しようとしています。このように理論は絶対的な物では決してありえず、その時々の価値観、状況などにより現在進行形で変化を続けていくことがよく分かります。

経済学≒政治学?

経済学は「価値」を取り扱う学問ですので、「かくあるべき」という議論からは逃れられません。アリストテレスとプラトンがほぼ政治論・道徳論の範疇で語っていた頃から状況は変わっていません。本書では様々な人物が「かくあるべき」論を展開しまくります。経済学で成功を収めた人はバーナンキやイエレンのように政府の中枢に出ていく人も少なくありません。ケインズもアメリカの大蔵省やイングランド銀行頭取を務めています。本書が取り扱っている経済史は、そのまま世界政治の歴史でもありました。

買いか

訳者の小須田健さんの専門は哲学です。そのためか、訳が堅く時々文意がわからないことがあります。本書を読み通すのにはかなり体力が必要でした。amazonレビューでも訳の悪さに触れられています。経済学者の監訳がついているものの、翻訳の質は今一つと言わざるを得ません。この本で唯一残念なところです。

しかしそれを差し引いても、本書を読む価値は十二分にあると言えます。これだけのボリュームをもって経済学を概観できる本は他にないでしょう。できるなら、原著を手に入れて読んでみるともっと良いのかもしれません。

なお、本シリーズには「経営学大図鑑」「哲学大図鑑」「政治学大図鑑」「宗教学大図鑑」があります。いずれ読んでみたいと思います。

 

 

関連本

本書で取り上げられていた、いずれは読んでみたい本一覧です。メモとして貼っておきます。

雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫)

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国富論 1 (岩波文庫 白105-1)

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自由と経済開発

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隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】

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インフレ、雇用、そして金融政策―現代経済学の中心的課題

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  • 作者: ロバート・M.ソロー,ジョン・B テイラー,ベンジャミン・M.フリードマン,Robert M. Solow,Benjamin M. Friedman,John B. Taylor,秋葉弘哉,大野裕之
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 単行本
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金融不安定性の経済学―歴史・理論・政策

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書籍レビュー: 定番かつ優れた人生論・自己啓発書!『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』 著: スティーブン・R・コヴィー

★★★★★(・ω<)☆

大ベストセラーの評判通りの良書

本書は世界で3,000万冊、日本でも180万冊売れている書だそうです。私は人生哲学・自己併発系の書籍を読むのは初めてです。win-winという言葉は代ゼミの講師が良く利用していたので聞いたことがありましたが、この本が発祥だそうです。

560ページとかなり長いですが、ごく一般的な言葉で書かれていますのでスラスラ読めます。というより、引き込まれてしまって止まりません。

手段より原則が大事である

この本で繰り返し述べられるのは「原則の優位性」です。「公正さ」や「誠実」「正直」などの原則は世代や地域を超えて存在します。原則を鋭くえぐった古典が生き残り、世界中で読まれる理由はそこにあります。これらの原則に従って行動し、思考し、生きることの合理性・優位性について何度も言及され、小手先の手段で物事を取り繕う「個性主義」の無意味さを説きます。原則に従うことは、短期的な即効性はないが長期的に必ず利益を得る、という特徴があります。そしてこの「原則」に従うための具体的なパラダイムを、「7つの習慣」というトピックに分けて説明していきます。

第一、第五の習慣に感銘を受けた

詳しい内容を説明するのはおこがましいので、詳細は自分の目で読んでいただきたいです。以下は、私の感想です。

私が特に感銘を受けたのは第一、第五の習慣についてです。まず第一の習慣「主体的である」のポイントは、「自分が自分の責任を引き受ける」ということです。

私は数年前、発達障害であると医師に診断されました。いわゆるアスペルガー症候群です。最近基準が変わり、自閉症スペクトラムの一種であるということになりました。診断がついた時、自分はそれらの基準に良くあてはまることは納得しつつも、だから何なんだよ、私は私だよ、他人が私のことを規定するんじゃないよ、という大きな反発が自分の中に生まれました。

決定論が大嫌いになりました。決定論の中でも特に「○○だからしょうがない」「××だからできるわけがない」という論理が嫌です。アスペルガーを含む自閉症スペクトラムは他人の感情を想像することができないと言われています。例えばwikipediaを見てみましょう。

アスペルガー症候群 – Wikipedia

空気を読むことが出来ない、会話が一方通行になりがち、あいまいな指示が理解できない、白黒はっきりつけたがる、一般人の持つ常識が備わっていない

心の理論の欠如

彼らにとって「行間を読む」ことは、困難ないし不可能である。

なんだか絶望的ですね。アスペルガー症候群は国の後押しもあり有名になったので、決定論的に次のような考えをする人間が増えました。

アスペルガーは死ね!2(1ページ) – 2ログ

しかしながら、発達障害というのは「発達が遅れている」ということであって、「発達できない」というわけではありません。努力すれば克服できないわけではありません(確率は低いけれど)。

前置きが長くなりましたが、「主体的である」という章では、ざっくり言えば「環境、他人などに原因を押し付けるのは間違っている。あなたの人生を決めるのはあなたである。責任はあなたにある」ということを説きます。

極端な例を出せば、家族が亡くなって悲しいとします。しかしその悲しむという選択をしているのはあなたです。究極の自己責任論です。そしてすべての責任を引き受けることができれば、自ら変わるという選択をすることができます

これは胸にすとんと落ち、なおかつほっとする考え方でした。自閉症スペクトラムはほぼ遺伝的要因で決まるので、診断当初は自分の境遇を恨むこともありました。どうせ自分にはできないから、と投げやりな気持ちになることが多くなりました。しかし決定論に屈すれば、成長はありません。「私は私だ」という押さえつけられた気持ちを止めることはできません。私は規定された存在ではなく、努力で如何様にもなれるはずだ、という反発を根底とした気持ちは、この章を読むことにより根拠づけられました。とても嬉しいことです。

第五章は「まず理解に徹し、そして理解される」というテーマです。この章も第一章と大きくリンクしています。ポイントはタイトルそのままで、相手を理解しなければ、他人に理解されるわけがない、ということです。特に、家族間の問題に対しての効果が大きな章です。

「自叙伝」の有効性のなさについて再三警告がなされます。他人は自分と境遇・考え方・発達段階が異なることが前提です。他人に「自叙伝」を押し付け服従させようとする試みは、たとえそれが正しいことだとしても、失敗します。なぜなら、第一章で言及がある通り、人間は自分が選択することによってしか変われないからです。これは実感と極めてよく一致します。したがって、相手を理解することなしに自分を理解してもらうことは不可能です。

実践している人がいる

さらにこの本を読んで驚いたことは、日ごろ読んでいるサイトや最近読んだ本に実例があった、ということでした。

まずこの人です。

少し前から感銘を受けて読んでいる投資ブログです。必ず長期的に利益を得る「原則」に従って、30年先を見据えて鉄壁の心で順守し行動する、ブログにより他人とのコミュニケーションを図りどんな意見でも聞いて自分に取り入れシナジー効果を図る、という手法は、完全にこの本と一致します。たぶん、読んでいるのでしょう(読んでいなかったらもっとすごいです)。

さらに、この本の内容とも一致しました。

セブンイレブンでは優れた電子端末の力を利用し、アルバイト人員自らが在庫を管理し工夫を重ね、自分たちの力で売上を増やしていく仕組みを作りました。鈴木氏を頂点としたトップダウンの仕組みも大きいですが、基本は現場の人間が自ら考えて行動する、細かい積み重ねがベースとなっています。

この2つに共通するのは、共に大きな利益を上げていることです。ゆうゆーさんはすでに資産が2.77倍になっていますし、セブンイレブンは業界ダントツ1位の収益率です。

今後も長期にわたって効果が続けば、「7つの習慣」の有効性はさらに揺ぎ無いものとなるでしょう。

 

(2015/07/26追記)日を追うごとにこの本の有効性が実体験的に証明されていくので、評価を上げました。

 


書籍レビュー: セブン流ここに極まる 『セブン-イレブン 終わりなき革新』 著: 田中陽

★★★★★

私はほぼ毎週セブンイレブンを利用しています。生活に密着する企業の本には興味が出るものです。

セブンイレブンの成長過程とその手段を熱い筆致で綴る

この本は日経の記者がセブンイレブンを長期間取材して書いた熱のこもった一冊です。連載なのか書き下ろしなのか記載がないので分かりませんが、基本的にはセブンイレブンに好意的な立場から書かれています。セブンイレブンに思い入れがあるのかもしれません。

セブンイレブンの成長過程を追いかけることをベースに書かれています。イトーヨーカドーの多角化戦略の一つとして始まり、米国サウスランド社から看板と経営理念をロイヤルティを支払うことで獲得し、ヨーカドーとサウスランドを親として生まれたセブンイレブンですが、サウスランド社が経営危機に陥った際はこれを助け、紆余曲折ののちにサウスランド社を逆に買い取ってしまうまでのストーリーは読んでいてワクワクするものです。セブン&アイホールディングスとなった今でも、セブンイレブンの収益性はグループ内で飛び抜けて高いです。

ただの提灯記事ではない

見た目セブンイレブンの暗部には触れていませんが、所々気になる記述はあります。例えばNDF(日本デリカフーズ協同組合)はセブンイレブンが1円も金を出さない非営利組織の商品開発チームです。90社もの食品メーカーが集まり、セブンイレブンのための商品開発を日々議論を戦わせながら行う部隊です。敵同士である企業同士が一堂に会するのは異様なことです。しかも、ここで開発された商品はメーカー出資のセブンイレブン用の専用工場で作成されることになります。どう見てもメーカー側に不利な条件です。本のだけ見るとこの組織を称賛しているように見えますがしれっと1行タネが書いてありました。

ただ、セブンイレブンのPOSデータによって、販売情報が毎日手に取るように確認できることは、消費者の嗜好を知る上で極めて重要であった。

要はPOSデータ(競合他社と違い食品メーカー相手なら漏れても痛くない)とセブンイレブンという市場を餌にして企業同士を無償で戦わせるという、セブンイレブンにとって美味過ぎる仕組みなのですね。このような客観的に見てずるい手法が他にもいくつも公開されています。わざととしか思えません。

鈴木氏に依存し過ぎ

また、現会長の鈴木敏文氏(82)を頂点としたピラミッド型の組織形態や、彼の一言で業務が変わる記述が何カ所も出現すること、また彼の思想が末端まで行き渡るように最大限の工夫がされた火曜の集会とOFS(店を回って店主に本部の意向をアドバイスする人たち)システムの仕組みを読むにつけ、鈴木氏への過度の依存が見て取れます。彼が引退したらセブンイレブンは潰れるかもしれないと思うほどです。これも意識して書いていると思われます。

カリスマ経営者の力で大成長する巨大企業は他にもファーストリテイリング、ソフトバンクなど新興の企業に多く見られます。少し前だとアップルやマイクロソフトもそうでした。ワンマンであることは急成長の必須条件なのかもしれませんね。

日々の改善をやめないことが利益を生む:具体的な商品開発ストーリーは秀逸

この本から学べる最も大きなことは、他の本でもしょっちゅう登場する「仮説を立て実行し検証することを繰り返す」ことの重要性です。チャーハン、赤飯おにぎりなどの商品開発、商品陳列コンテナの改良と開発などの具体的な商品開発ストーリーは読んでいて飽きません。どれも1日としてならず、試行錯誤の末に開発された商品や設備であることが分かります。セブンイレブンだけでなく、様々な企業の工夫を店から読み取れるようになったら面白いでしょうね。

この本では流通システムの記述が一番多いですね。商品を納入する運送トラックは創業時1店当たり1日70台も到着していたそうです。これでは店に人が 入れませんし、伝票が多すぎて店主は事務作業に追われるだけで1日が終わります。現在は、なんと1日9台まで減っているそうです!もちろんすぐに減ったわけではなく、共同配送センターを作ったり、常温品をひとまとめにして運ぶようにしたり…などの日々の改善から生まれた手法です。

買いか

買いですね。持ち上げ過ぎなのは筆者の立場上仕方ないでしょう。そこを差し引いて具体的なストーリーを糧にすることを薦めます。日経ビジネス人文庫は当たりばかりですね!

 


書籍レビュー: 飯野一、小出浩平 – はじめての人のマーケティング入門(かんき出版)

 ★★★★★

マーケティングとは何か

本書はマーケティングの入門書です。マーケティングとは、『企業が効率的に売上を上げ、利益を獲得していく仕組み』であると冒頭に記述があります。

我々は物質的制約・時間的制約・金銭的制約のもとに生きています。商売のために割くことができる時間・労働力・金銭は限られています。限られた資源をどうすれば最大限に活用することができるのか、様々な先人たちの知恵を結集したものがマーケティングです。マーケティング理論を知らなければ我々の努力は徒労に終わり、費用が嵩むだけで利益が出ず商売が立ち行きません。

理論のポイントを絞り込み実例に重きを置いた米国流の本

この本はマーケティングの理論についてはポイントを絞って簡潔かつ分かりやすく解説し、さらに実例を使って理解を深めるという形式をとります。その簡潔性から、あっという間に読めてしまいます。私は2時間くらいで読み終わってしまいました。かといって内容が薄いわけでは決してありません。

ポイントは具体的には「セグメンテーション」「ポジショニング」「プロモーション」「ライフサイクル」「CS(顧客満足)」「5つの力」以上の6つです。これらをごく実用的に解説する書と言えます。

米国発のビジネス書や心理系本を読んだ方ならわかると思いますが、あちらの本はとにかく実例が多いです!そういえば著者はMBAを学んだ人ですが、この本も実例が豊富でしたね。

セグメンテーションで市場を分割せよ

私はアフィリエイトサイトの作成の参考にしようとこの本を手に取りました。最も重要と感じたのは「セグメンテーション」です。セグメンテーションとは、『お客さんを分割し細分化すること』(引用)です。

私たちは様々な状況の中で生きており、趣味・嗜好・欲求・悩みなど決して一様ではありません。このような人々のすべてのニーズに応えようと思っても決してうまくいきません。先に述べたように資源は有限であり、一つ一つにすべて対応しようと思えば労力が過大になりキャパシティを超えてしまうことは必然です。

そこで、市場を年齢・性別・職業・住所などで分割し最もニーズが多い層に向けて経営資源を集中すれば、資源配分は効率的になりしかもお客さんの満足度も高まる、というのがセグメンテーションの大まかな論理です。

例えば、ベンツを全ての日本人に等しく売り込むのはどう考えても非効率です。ベンツは金持ちがステータスとして乗る傾向が強いのですから、金持ちが憧れるようなカッチョイイ広告をぶち、営業も収入の高い層に向けて行うのが最も効率的です。

ターゲットを絞り込む、という作戦は最近読んでいる山本一郎さんのブログでも散々言われていることです。私は山本さんのことはサラリーマンとしても相当優秀な方だと尊敬しています。

ポジショニングで自社の位置を確定せよ

もう一つ重要なのは「ポジショニング」です。競合企業が存在する業界で自社製品をどのように位置づけ差別化するのか、ということを理論化したものです。自社と競合企業の立場を視覚的に分かりやすくするため、二次元の軸を取って図を作ります(ポジショニングマップと言うそうです)。この本ではマルイ、UNIQLO、パルコなどをX軸に利便性・Y軸にサポートの充実度をとって配置しています。

マップの例としてはこんなものもあります。

http://file.siusiu.blog.shinobi.jp/2012-06-12_224828.png

当たり判定ゼロ STGポジショニングマップ(リバイス)

ポジショニングマップにおいて自企業と他企業との位置が非常に近接している場合は、どちらの商品を買っても変わりがないわけですから、激しい競争が予想されます。これは効率を大いに落としますから、直ちに位置づけを変更し競合が少なくなる道を選ぶのが賢明です。

セグメンテーションで分割した市場内をポジショニングによって分析し、他の企業との差別化を図って経営資源を最も効率的に配分すれば少ない負担で最大の利益を上げることができます。

株式投資にも役立つ

企業分析においてマーケティング理論も必須のようです。後半の「ライフサイクル」は時系列的な企業の位置、「5つの力」は企業の競争力を図るための指標として優れています。この基準に照らせば企業が今後利益を伸ばしていけるのか、それとも衰退する運命にあるのか予測を立てることができます。株式投資を行う人間にとってもマーケティングは必須の理論であることも分かりました。

買いか

買いです。きわめて分かりやすい上に実用的な本書は一読の価値があります。マーケティングは多種多様の本が出版されていますから、この本を読んだ後でも教材に事欠きません。はじめの1冊としておすすめです。

 


書籍レビュー: 流通はダイナミックで面白い 『流通のしくみ』 著: 井本省吾

 ★★★★★

「大手小売業の動向」が秀逸

入門書ということであまり期待していませんでしたが、この本は大当たりです。優れているのは第三章の「大手小売業の動向」です。1904年、明治37年に三越百貨店がオープンしてから、百貨店の隆盛と衰退、変わってイトーヨーカ堂のような総合スーパーが台頭し百貨店にとって代わり、さらにスーパー業界からマイカルのような巨大GMSが発展し、その後伸び悩みさらにバブル崩壊で債務を抱えて破綻するストーリーや、電気・ドラッグストアのような専門分化の業態の発展などが50Pほどかけてダイナミックに描かれています。

卸売から商社への道

また卸業が吸収合併を続けていき、総合商社が最終的な勝者となる家庭も興味深いです。そもそも商社は「疑惑の総合商社」やらで単語は知っていますがその実何をやっているか知らず、巨大な卸売会社の役割を果たしているなんて知りませんでした。彼らが在庫のリスクを負って全国全世界津々浦々の商品を調達しまくり、企業と生産者の調整役を果たしていただなんて。

経営に必勝法などない

後半はしまむら、ユニクロ、ヨーカ堂などを例に挙げて流通を通した経営にも触れます。「大手小売業の動向」を読んでも感じましたが、共通している理念は「地道な努力こそが全て」ということです。経済状況も人々の好みも、時代の要請も毎日変化します。永遠に続く儲ける方法など存在しません。トライ・アンド・エラーを積み重ねるしかありません。仮説を実際に実行して、失敗成功にかかわらず実績を分析することがすべてです。

大型化と寡占化は今後も進む

この本が書かれたのは2005年(※初版です。第二版は2009年)ですが、当時から10年経って、寡占化と淘汰はさらに進んでいるように思います。私が済んでいる地域は毎月のように店が消えていきます。残る店は工場跡地にできた大型SCか、ターミナル駅の駅ビル・大手小売りの支店ばかりです。体力とノウハウのある店だけが生き残れるため、どこの町も均一になりつまらない店ばかりになっていきます。それを消費者が望んでいるのは分かるのですが、個人的には残念なことです。

しかし一方、魅力的な商品を集める小型店は生き残れる、という記述もあります。確かに、美味しいケーキ屋、地場の人間のニーズに応える小規模スーパーマーケット、他にない味を出すユニークな飲食店は相当先まで生き残りそうに見えます。

一方、魅力のない店が淘汰されるスピードは加速するでしょう。例えば、最寄り駅から徒歩圏の書店が近年なくなりました。しかし近くのターミナル駅には、OL向け・家族連れ向けとターゲットが明確な中型書店が2店、漫画に特化した書店が1店、更に地元民に愛される老舗書店2店が生き残っています。今後はこれらの店の中でも淘汰が起きるかもしれません。老舗書店がいちばん先に倒れそうです。

買いか

買いです。ただの入門書と侮ることなかれ。著者の筋の通った丁寧な説明に感心するはずです。

 

※私が読んだのは第二版ではなく初版です。若干内容が異なっているかもしれません。


書籍レビュー: インターネットはプル型メディア 『売上と集客が確実にアップする 儲かるキーワード広告の使い方』 著: 竹内謙礼

★★★☆☆

偶然ですが、意図して選んでいないのに直近に読んだ本と著者がかぶっていました。

要点とそれ以外

この本のポイントは、次の2点に絞られているようです。

  • 従来の広告はプッシュ型だが、キーワード広告はプル型である
  • コストを最適化せよ

1点目については、おおむね次のようなことです。従来のTV広告や新聞広告はプッシュ広告、すなわち内容に興味がないユーザーに広告を押し付け、興味を持たせるものです。テレビ・電車・新聞などのメディアを利用して目に触れる人数を多くすることと、奇抜なキャッチコピーで目を引くことに特化する傾向があります。これに対してキーワード広告はプル型、ユーザーが積極的に検索エンジンを使って情報を探してもらってはじめて成立する広告です。プッシュ型広告と戦略が変わってくるのは当然です。この点については目から鱗が落ちました。

2点目はコストの最適化についてです。キーワード広告にかかるコストは

クリック単価*クリック数

ですべてが決定します。明快ですが、話はそう単純ではありません。

クリック単価はオークション形式で価格が決定し、金を出すほど上位に表示されます。したがって、クリック単価を下げればコストは安くなるものの、広告効果も落ちます。

クリック数についても、クリックされれば必ず商品が売れる(コンバージョンする)わけではありません。広告に使用したキーワードによって、コンバージョン率が変化します。コンバージョン率がなるべく高いキーワードを選ぶことが必要になります。

以上が要点です。この2点については読む価値があります。しかし280Pとそれなりの長さがあるものの、アドワーズやスポンサードリンクの使用方法、経験則などに終始し、あまり濃い内容とは言えません。前回読んだ本とは気合の入り方が違うように思いました。

買いか

上の2点の要点を押さえておけば、あとはアドワーズ、スポンサードリンクをしばらくの間使っていればこの本に書いてあるくらいの内容については自然と経験できるのではないでしょうか。評価は高いですがあまりお勧めできる本ではありません。


鈴木康之 – 名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方

★★★★★

コピーライターの鈴木康之さんは1937年生まれ。今でも現役で講演活動をしていらっしゃいます。もう80歳近いのですね、お若いです。

内容

新聞広告を中心とした名作コピーを掲載し、鈴木さんがその文章のどこが素晴らしいのか、どのような点に着目してこの文章を書いたのか、書いた人はどのような気持ちで書いたのか、などを解説していきます。例として使われている英会話のGabaやJTの広告はリアルタイムで駅構内や電車広告で目にしていたので、感慨深いものがあります。

Gabaの広告から学ぶ「差別化」

例えばGabaです。ここでは「差別化」についての解説がされています。日本人は英語コンプレックスがあるので、英会話スクールの需要は今も昔も旺盛であり、そのためスクールは乱立しどこを選んだら良いのかさっぱり分かりません。そこで差別化が必要になります。同業他社と比べてオンリーワンな特性を顧客に提示し、「そうか、ここなら私にぴったりだ」と気付かせるための広告です。Gabaはマンツーマンレッスンを自社の特徴と位置づけ、次のような掴みのコピーで画面の大部分を占める広告を作成しました。

ボディコピー(本文)にもキモがあります。

たとえばあなたがおいしいお寿司を食べたいとき、天ぷらも焼肉も寿司もありますという店より、寿司だけ専門にしている店に足が向くのではないでしょうか。ひとつに集中している方が品質も期待できると考えるから。ぜひ、英会話スクールもその視点で選んでください。Gabaはマンツーマンレッスンだけの専門店。講師も1対1のための独自の指導法を身につけています。あなたをリラックスさせて、のびのび話す場を作る。Gabaのマンツーマンは、他とは違います。

わかりやすく、納得できるたとえ話です。この広告は主に山手線でよく見た記憶があります。解説には書いてありませんが、英会話スクールは主にビジネスマン向けですから、寿司や焼き肉を例に出すところがターゲット層の今日の晩御飯を的確に捉えています。「じゃあ、Gabaにしてみようかな。晩御飯も、ファミレスはやめて焼肉屋にしようかな」と思うこと請け合いです。

以上のように考えさせられるコピーがざっと20はあります。

人と同じことを思い、人と違うことを考えよ。

最も考えさせられた文句です。養命酒の広告を題材に、この言葉についての解説があります。前段は想像力について。多種多様な仕事に従事し一様ではない立場の人間が毎日生活し、どのようなことを考えているか想像し、言葉にする。その上で、想像した人間ともまた少し違う視点でものを見てみる。それが後段の「人と違うことを考える」ということです。いろんな人の「あたりまえ」をちょっと変わった言葉で取り上げる。すると次のようなコピーが生まれます。

30分半身浴するくらいなら、30分早く寝たい。

これは冷え性の女性を想像して書いた言葉です。

1年が過ぎるのは早いが、1日はなかなか終わらない。

これは疲れた男性を想像して書いた言葉です。いずれも、ターゲットとされている人間にとっては極めて実感が湧いてくる(人と同じことを思い)内容であり、かつ、言われてみればそうだけど自分で意識したことがなかった(人と違うことを考えよ)内容ではありませんか?

これらのコピーのあとに、「そんなあなたに養命酒・・・」というボディコピーが続いていくわけです。よくできてますよね。

天才なんかいない。いい文章を書くには、勉強と訓練しかない。

この本で学べること最も大事なことは、上のようなことだと思います。1つのコピーを書くためには、その何倍もの文章を書いて、さらにそれを何度も手直しせよ、という記述があります。プロでも言葉は大目に書いて、削っていく作業が重要だそうです。努力の必要な世界です。

著者の鈴木さんは、いいコピーに出会ったら必ず、まず何度も読み返すそうです。そしてそのコピーのどこが優れているのか研究し、自分の作品に取り入れていくという作業をずっと続けているそうです。ごく当たり前のことなのでしょうが、何事も努力しかないと超ベテランの方に言われるとうなずくしかありませんね。

買いか

買いです。これは文庫ですから、フルプライスでも十分おつりが来ます。自分としては学ぶところが大きかったと感じています。ただ1点気になるところがあり、日野原重明さんの新聞コラムを読むと感じることと同じなのですが、著者は謙遜しているつもりで「自分はこんなことやってきたんだぜー」という言いたがり感情が見えるところがあります。そこは年長者のご愛嬌、内容に期待してください。

なお、もう一点感動したところとして、書き出しのアンドレ・ブルトンにまつわるエピソードがあります。これは紹介するとつまらないので、ぜひ読んでみてください。。

 


竹内謙礼 – 売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方

これはよくできた本だ。キャッチコピーの出来に売り上げが大きく左右されるのは、新聞広告、電車の吊り広告、そしてウェブ広告を見ればわかる。買いたくなるコピーには必ず目が行く。クリックしてしまう。楽天市場の商品紹介は、売りコピーの巣窟だ。

強い言葉と弱い言葉の区別(例:弱い言葉「安い」「痩せる」→強い言葉「激安」「3日で-○kg」)、「引き」「特徴」「説明」による要素の分解、日常のキャッチコピーの探し方などなど、軽めの筆致ながら重要なポイントがコンパクトにまとめられている。

この筆者は、顧客のことを心の底でアホと思っていながら、それを表に絶対に出さない究極の商売人だと感じた。

お客様というキャッチャーは、どんなボールでも受け取れるほど有能ではないからだ。自分が取れる範囲のボールしか受け取らないし、無理してボールを追いかけようともしない。

どんな文脈でも絶対に「客」や「顧客」と呼ばず「お客様」という表現を徹底して使い続けるところに商人魂を見た。

この本で最も圧巻なのは、巻末の「キャッチコピー言い回し辞典」だ。600語にも及ぶ筆者のキャッチコピーの頻出言い回しと用語解説がついている。3年間かけて集めたものだそうだ。またこの解説が身も蓋もなくて面白いのだ。何回も吹き出してしまった。

『感動プライス』安いのか高いのか判別しづらい言葉だが、温かさがあって「いい商品を安く」という印象を与える。安売りをしたくない時に使用。

『次回販売は未定』製造が追いつかない人気商品である印象を与え、即時の購入を促す効果のある言葉。もちろん、実際に未定であるか否かは問わない。

『気にならない』気にかかっている点を解消できる効能を宣伝する際に使用する言葉。お客様の気持ちを先取りして代弁することで、あたかも必然であるかのような心情へ導く効果がある。

筆者の努力の結晶であるこの辞典には気合が溢れている。

人間は楽をしたい生き物、虚栄心のある生き物、金を節約したい生き物である。ここを如何にして突くかが問われている。という商売人の基本中の基本を叩きこまれる思いのする本だった。言い回し辞典は折を振れて何度も読みかえしたい。新聞広告やチラシ広告、ウェブ広告は毎日目を通さなければいけないね。

買いか

買い。フルプライスでも買うべき。私は2005年の単行本版を古本で買ったが、いまはリンク先で文庫の増補改訂版が安く出ているので買うべき。


嶋村和恵, 電通 – 新しい広告

広告についての大学用教科書という感じでややお堅く、表現にパンチが無いが内容は極めて面白い。広告というのは経済活動の最も末端に位置する生産者と消費者を結ぶ橋渡しの役目だけではない。情報発信こそが広告の役目であり、それは企業からだけではなく、政府から、個人からも行われる。目的も様々で、すぐに商品を買ってもらうものから、ブランドイメージのぼんやりとした構築、意見広告や専門家を対象にした広告まである。

マズローの欲求五段階説と広告訴求を対応させた記事が面白い。

マズローの欲求5段階説 |モチベーション向上の法則

・生理的欲求:商品の使用シーンに関係のあるシズル感

・安全の欲求:製品の安全性、保険商品の危険訴求、企業への信頼感

・所属と愛の欲求:スポーツチームの関連商品、ユーザークラブの設立

・自尊欲求:トップアスリート、成功者、一流と言ったユーザーイメージ

・自己実現の欲求:仕事、スポーツ、教育、文化などを通じた達成感

 これは学者らしく、表現が控えめで甘いと思う。私ならこう思う。

・生理的欲求:肉汁など食欲をそそる表現、性的欲求をそそる雑誌のタイトル

・安全の欲求:中国の脅威を煽ったり、日本の行く末を極端に悲観して売らせる本や票を入れさせる政策

・所属と愛の欲求:出会い系サイトの広告、企業LOVEを前面に押し出すトップページ

・自尊欲求:身長が伸びる!など身体的コンプレックスを狙った商品、成功者はここが違う!など自分を成功者と同一視させる目的の商品

・自己実現の欲求:自己啓発セミナー、宗教の勧誘ポスター・冊子、芸術系大学・専門学校のパンフレット

 

ブランドイメージについて。マクドナルドの例が大きく取り上げられている。I’m lovin’ it をフレーズにしてにグローバル展開し、成功を収めていった過程が記録されている。しかし、フレーズと言うのは難しい。今マクドナルドは不振のズンドコに居る。消費者の健康志向が高まるにつけ、油まみれのハンバーガーやポテトにI’m lovin’ it と言われてもお前馬鹿じゃねえの?としか思えず、空疎である。ブランドイメージは高いうちはプラスがプラスを生む金の樹であるが、一度不祥事が起きればマイナスイメージを増大させるブースターに変わってしまう。

例えば週刊新潮にしてやられたライザップ。

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株価もこの通り。

健康コーポレーションはライザップの広告のおかげで大成長した。あちこちでネタにされ、反響も高い。私は次のAAが好きだ。

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    彡ハヽヽミ          ( ´・ω・`) ブゥーチッブゥーチッ♪
   ( ´・ω・`)        ./ >‐ 、-ヽ   ペーペケッペッペペーペーペペ♪
   /     ヽ      /丶ノ、_。.ノ ._。) ブゥーチッブゥーチッ♪
   / /    ヽ|  →  〈 、〈Y ,ーiー〈ト   ペーペケッペッペペーペーペペ♪
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   |  l⌒ヽ  ヽ         |、,ノ | 、_ノ

しかし一度「ライザップは危ない」と思われたらブランドはアウトなのである。回復には時間がかかる。その間に企業がつぶれてしまうこともある。ネガティブな表現もその情報伝達能力から広告の一種と言える。企業が好きで出してるものじゃないから狭義の広告ではないが。

買いか

買い。私は200円で買えたがこんな値段で置いてあることが信じられない。フルプライスは2000円でも十分のボリューム。広告について広く学びたければスタートの1冊として面白い。インターネット広告の隆盛と既存メディアの減速が既に予告されており、まだ古臭さはない。


太田 忠 – 賢い投資家必読! 株に強くなる本88

★★★★☆

著者

太田忠は証券会社から独立した投資家、企業化。ドイチェアセットやらJPモルガンやら、有名どころの外資企業の出身である。

投資講座、株式投資入門、資産運用なら太田忠投資評価研究所株式会社

彼は文学部出身という引け目を武器に変え、25年で2万冊の蔵書を蓄えた。見習いたいものだ。

内容

本の紹介は多岐に渡る。ハウツー本や投資の古典から、歴史書・フィクション・漫画にまで及ぶ。88冊紹介されていたうち、自分が読んだことのある本は4冊。それらの本の紹介文は、所々つまみ食いしたまとめにすぎないという印象が強い。他にもちょっとこじ付け的な本や、後半の紹介が端折られていて明らかに最後まで読んでいない本があったりして雑な点も見受けられるが、全体として紹介されている本のレベルは高い。7割くらいは、読んでみたいと思わせるような本ばかりだ。他人が本を紹介してくれるというのは本当にありがたい。自分一人ではそれらの本に辿りつくことができないから。

「敗者のゲーム」「ウォール街のランダム・ウォーカー」のような定番書はもとより、「本間宗久相場三昧伝」「火星からの侵入」「資本主義の終焉と歴史の危機」「証券投資の思想革命」「行動ファイナンスと投資の心理学」ここら辺は古本屋で見つかり次第即購入したい本だ。

買いか?

読む価値はあるが800円は高い。ブックオフで100円で売られていたら買うので十分。