発見、体験、解像度

自然が多い土地で育った。山がいつも見える。虫も木も川もあった。でも自然についてあまりに無知だった。自分は自然の中にいて自然を発見していなかったのだ。
山を見れば木が生えている。雲がかかっている。森に無数の生物が暮らしている。春夏秋冬で色も生物も異なる。朝と夜でも違う。雨が上がった日は緑色が映える。
これらは発見して初めて、知識や経験となる。山が物理的スペースを占めていても、それを発見しない人間にとっては存在していないことに等しい。
あらゆる物事は無限に分割することができ、視点も無限に存在する。どのような物事でも単一ではありえない。
毎日の生活の中で、どんな単純に見える物事の中にも発見があるはずだ。
ぼんやり見ているだけの世界は単純で安定しているが平板で多様性に乏しく、そこから思考も思想も生まれない。
生活を見るための解像度を上げねばならない。あらゆる物事からできるだけ多くを感じ取り、組み合せ、混合し、総括する。
材料が多くなくては思考できない。材料は多いほどよい。混ぜる技術は訓練によって体得できるが、その前提として、物事を見る目が鋭くなくてはならない。


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